ナマハゲという文化遺産

 ナマハゲのような幼い子供を
怖がらせる風習が日本各地に残っています。
世界文化遺産になりました。
何のためにこうした子供を怖がらせる
風習が残っているのでしょうか?
 私は小学生の低学年の時に
祖母から怖い昔話をいっぱい聞かされて
育てられました。
木こりが天狗の足を切り落とした話とか
東の森の奥にろくろ池があり
そこの魚は片目であるとかの
怖い話ばかりでした。

古い農家の一軒家で
窓という窓は開け放たれた
板の間で私と三つ上の兄は
夏になると震えながら
その話を聞いていました。
 後でわかったのは、母も祖母も
こうした話を聞いて育ったのです。
祖母の家系は駿河の守護大名の
末裔だとのことです。
けれども、豊臣秀吉に滅ぼされて
奥深い森に逃げ込みました。
百姓になって再起して庄屋になりました。
地域の大名をしのぐほどの財力を得て地元に
寺を寄進するほどでした。
が、子孫には百姓として生きることを
強く求めました。
それこそが、子孫が存続できる
生きざまだと思ったようでした。
それで、子供が
「怖いもの知らずで育つことを
なにより恐れました」
ものすごく怖いものがある
と言う意識を子供の時に叩き込んだのです。
侍文化は自立の文化です。
一つ間違えるとアウトローに
さえなってしまうのです。
自爆してしまうこともあるのです。
侍と百姓を猛烈に行き来した
私の祖先が私を生き延びさせるために
残したのがこの怖い昔話だったのです。

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